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未満都市15
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幕原の白い施設の中に、新しい住人が入居したのは実に一ヶ月と一週間ぶりだった。
皆が皆、一様に白い服、白いズボン、白い靴を身に着けている。
その目には一様に輝きがない。
現在も白い壁が印象的な食堂にて、一同の視線は新参者たる二名に注がれている。
ヤマトという名の少年は侵入から即日で入居してきたが、原因不明の高熱が出て一週間は宛がわれた部屋で身動きとれなかった。
なので、今朝ようやく目が覚めたヤマトは、本日始めてのお目見えといえる。
一方、タケルはというと侵入から約二日後に市街地の一角で捕らえられた。
こちらは捕まえるのには時間がかかったが、入居後は同室のヤマトの看病などに従事し、模範的な入居者として目立たず静かに暮らしている。
「何が楽しくて安全な外の世界から入ってきたんだか……」
「しかも、ろくなモノ持ってきてなかったみたいだぜ……チョコクッキーとかGBとかさ」
「ピクニック気分かよ。お気楽なこった……」
と陰口を叩かれるのも尤もで、食堂の隅で二人は黙々と箸やスプーンを動かした。
「畜生。身体さえ言う事を聞けば……!」
悔しさで箸を持つ手が震えているヤマト。
「我慢や。ヤマト君、我慢、我慢」
さして気にする風でもなくタケルは自分が用意したスープをすくう。
「しかし、悪いな。タケル。何もかもしてもらっちまって」
基本的に、施設内は自活するのが規則らしい。
大抵は五人部屋の共同生活者が、分担して家事や炊事などをこなしていると先程、柴崎から聞いていた。
その他にも部屋ごとに出される仕事などがあるそうだ。
ヤマトとタケルは小さな余り部屋に押し込められ、普通五人でこなす所を二人でしなければならなくなっていた。
しかも、現在思うように身体を動かせないヤマトがいるので、必然的にタケルが一人で数をこなしている状態だった。
「何も気にせんと、栄養つけなあかん。まだ熱高いんや。無茶は禁物やで」
「それにしても、まさかこんな事になってるなんて……お前、もしかして気づいてたんじゃないか?」
ヤマトはジープの中でのタケルの様子を思い出していた。
「あん時……ゲートの所で出てくジープに、何やしらんが薬品まいてたやろ。普通、火災ならあないな事せぇへんし、テレビで言うとるような隕石の放射能が原因なら自衛官の皆さん、もっとごっつい装備してるやろ」
「だからジープの中で突然、俺を下ろしたのか」
「上手く行かんかったのは残念や。あん時のお前、まだ感染しとらんかった筈やし。なのに、むざむざ犠牲者増やしおってからに……」
表情には出さないが、相当タケルは怒っている様子。
「まあまあ、こうして無事生きてるんだからさ」
「なに悠長なこと言うてんねや。下手すればお前、死んでもうてたんやで?」
タケルが怒るので、当のヤマトは普段の彼らしくはないがフォローにまわる。
「とにかく、もっと状況を把握する必要がありそうだな」
ヤマトは注意深く辺りを見渡した。
「さっきも言うたけど、お前が寝とる間、何度かキイチが見舞いに来たで。今日の自由時間――午後八時から九時までの一時間に、また顔見せる言うてた」
「そういや、キイチはどこだ?」
立ち上がってキョロキョロと食堂を見渡すヤマト。
「落ち着け。食堂が使える時間は三時間しかない。せやから食事は班――部屋割りごとに三回に分けられとるんや。俺らのグループは午後二時からで一番最後。キイチの班のグループは正午の十二時から一時間、一番初めや。覚えとき」
「何か、まだるっこしいな」
「一つの都市が丸ごと感染症に侵されたんや。今どんだけの人数いるかわからへんねんけど、妥当な線や思うで。むしろ、こうしてまともな食事出来るのは奇跡的や」
「それにしても……何と言うか。こう、息苦しいっつーか」
「窓がない?」
タケルの言葉に、ヤマトは身をのりだした。
「そう、それだ!」
「ここ地下やし。しゃーないね」
「地下なのか?」
「苦し紛れの目隠しやろ。どこもかしこも白一色。赤じゃないだけましかもしれへんけど勘弁したって欲しいわ。仕事によっては建物の外にも行けるのが唯一の救いか……」
「外に?」
「滅多に出られへんから、もし出られる時は満喫しといた方がええで。それにしても食事終わったらヤマト君、初の仕事やな。ごっつ楽しみや」
「何、その笑顔……」
にんまり笑うタケルを見て、ヤマトは不吉な予感がした。
話題を変えるためにヤマトは尋ねる。
「そういえば、お前の姉ちゃん見つかったのか?」
「……」
タケルは目を伏せると、口許に笑みさえ浮かべて淡々と語った。
「当時、プラント内におって死んでもうたらしい。爆発に巻き込まれて遺体も出んのやと」
「……」
「ヤマト君。そないな顔せんといて。こっちまで気が滅入るわ」
「……悪い」
ヤマトは自分の軽率な発言に対し謝る事しか出来なかった。
「ここに向こてる時から、こうなるような気ぃしとったんや。もし爆発に巻き込まれへんかっても姉ちゃん、成人しとったからな……不幸中の幸いや。あないな病気で死によるより全然マシやで、ほんま」
まるで死に様を見た事があるかのようにタケルは話す。
「タケル……」
「せやから。お前さんが気に病むのは幾らなんでも、お門違いやで?」
……こいつには一生適わない。
ヤマトは苦笑するタケルを見て、しみじみとそう思った。
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先は長くなりそうです……。
途中でミニエピソードとか入れちゃって、
当初の方向性を見失うタイプの文章になってきた。
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興奮し過ぎて、マジで疲れましたww
ありがとう〜!
プリンタは前から調子悪かったのさー。
もう直ったので大丈夫だよ!
ブ厚くなってゴメンよ☆